Kocco’s blog

イギリス生活、美術教師、ロックダウン、妊娠

天井事件

予定日まで後少し,,大切な友人2人の声を聞くことができた。1人は東京、1人はアムステルダム。以前は簡単に会えていたのに、毎回キャッチアップするたびに前回よりも変化していっていた相手の日常と変わらないトーンで言葉を交わせる仲と毎度の電話は本当にいろんなことに気づかされる。田舎の外れの草原に佇むお家の中にいると電波を伝って受け取ることのできる外の情報は果たして本物なのか戸惑うこともある。電波が悪いとやっぱり遠くにいるんだなと感じる。

 

朝日がのぼり長い夏の昼間を超えて夜には日が沈む。一日は穏やかにすぎるようでとんでもない出来事も起きる。

 

例えば,,,天井が落ちてきたりする。

f:id:Kocco:20200828193734j:plain

 

ドブソン家の広間はとっても贅沢なシルバニアファミリー感漂う空間だ、たっぷりウェーブのかかったカーテン、ふかふかのソファに刺繍が入ったクッション、なんだかゴージャスに感じるタッセル、家族の歴代の写真(最新版もなぜか古めかしく見える)豪勢な絨毯もその空間に座るとこちらがなんだか謙遜してしまう。私がその部屋に行く目的といえばそこにちょこんとデスクを設けてもらいリモート仕事する母親に会いに行く時と電波の悪さに嫌気がさしてルーターの近くに行って見る時のいずれかだ。

 

友人との電話が終わりキッチンに居るとヘンリーに遭遇。“あの音聞いた?!お母さん間一髪だったよ、、もし運が悪かったら最悪の事態になっていたかもしれない。。とりあえず広間に来て!”

 

ヘンリーのことだからまた私を驚かすためのジョークを思いついたのかもしれない。と私は広間の扉を開けるまでは至って冷静だった。が、扉を開けるとそこは漂流教室。普段のシルバニア感は微塵も感じられなかった。部屋中崩れ落ちたブリックの塊と感じるのは本物の塵…20年前に石膏技師の人が手を施して以来こんなことが起きるとは誰も予想していなかった。下にあったテーブルは木っ端微塵、ソファーは重い石膏の塊が降って来たせいで埃まみれだった。

 

もしもその時母がソファーに座っていたら、、もしもその時自分がそこにいたら、、と考えるととてつもなくゾッとした。一瞬のタイミングの違いが生と死を決めることがあるのだと、生き残ったからには強運と受け止めるしかないが。。 

 

崩れ落ちた天井とびっくりしながらも平穏な母の笑顔のギャップ、あまりの衝撃に笑いが止まらないヘンリー父、いろんな状況が不気味で考えれば考えるほど私とヘンリーの顔は凍ってしまった。お腹の子が無事でよかったし、この子のためにはるばる来てくれた母が無事で本当によかった。